AI(人工知能)という言葉を聞くと、難しそうに感じるかもしれませんが、実は身近なところで活用されています。例えば、スマートフォンのカメラで顔や物を認識したり、音声アシスタントで話しかけたり、SNSでおすすめの投稿を表示したりといった機能は、AIの技術が使われています。
AIは、人間の知能や行動をコンピューターで再現したり、超えたりすることを目指す分野です。AIは、大量のデータからパターンやルールを見つけ出したり、新しいデータに対して予測や判断をしたりすることができます。AIの一種である機械学習は、コンピューターにデータを与えて学習させることで、AIを作る方法の一つです。
では、AIはどうやって作るのでしょうか?実は、プログラミングツールの「スクラッチ」を使えば、手軽にAIを体験することができます。スクラッチは、子どもから大人まで誰でも簡単にプログラミングができる無料のツールです。色と形の違うブロックを組み合わせて、物語やゲーム、アニメーションなどを作ることができます。
この記事では、スクラッチでAIを使って面白い作品を作る方法を紹介します。AIの基本的な仕組みや、AI拡張機能の使い方、コンテストへの参加方法などを解説します。スクラッチでAIプログラミングに挑戦してみましょう!
AIの仕組みを理解しよう
まずは、AIの仕組みについて簡単に説明します。AIは、入力と出力の関係性を学習することで、新しい入力に対して出力を生成することができます。例えば、画像認識というAIは、画像が入力されると、その画像に写っているものや特徴を出力します。
画像認識のAIはどうやって学習するのでしょうか?答えは、「教師あり学習」という方法です。教師あり学習とは、入力と出力の正解のペア(教師データ)をたくさん用意して、AIに学習させることです。例えば、猫の画像と「猫」というラベル、犬の画像と「犬」というラベルといった具合です。AIは、教師データから入力と出力の関係性を見つけ出し、その関係性を数式やパラメータとして表現します。この数式やパラメータを「モデル」と呼びます。
モデルができると、新しい入力に対して出力を生成することができます。例えば、学習したことのない猫の画像が入力されると、「猫」という出力を生成します。このように、AIは、教師データから学習したモデルを使って、新しい問題に対応することができます。
スクラッチでAI拡張機能を使おう
スクラッチでAIを使うには、AI拡張機能を利用します。AI拡張機能とは、スクラッチに追加できるブロックのことです。AI拡張機能には、以下のような種類があります。
- TM2Scratch:Teachable Machineというウェブサイトで作ったモデルをスクラッチで使えるようにする拡張機能です。Teachable Machineは、カメラやマイクなどの入力を使って、自分でモデルを作ることができるウェブサイトです。例えば、カメラに向かって手の形を変えると、それに応じてスプライトが動くようなプログラムを作ることができます。
- ML2Scratch:Machine Learning for Kidsというウェブサイトで作ったモデルをスクラッチで使えるようにする拡張機能です。Machine Learning for Kidsは、テキストや画像などの入力を使って、自分でモデルを作ることができるウェブサイトです。例えば、テキストに感情を認識させたり、画像に物体を認識させたりするようなプログラムを作ることができます。
- AIブロック:TECH PARKというウェブサイトで提供されているAIブロックをスクラッチで使えるようにする拡張機能です。AIブロックは、画像認識や音声認識などのAIの機能を使えるブロックです。例えば、カメラに写ったものやマイクに話した言葉をスプライトに表示させたりするようなプログラムを作ることができます。
これらのAI拡張機能は、コンテスト独自のバージョンのスクラッチから利用することができます。[キッズ AI プログラミングコンテスト]のウェブサイトから、「Scratch を開く」ボタンをクリックしてください。すると、スクラッチの画面が開きます。左下の「拡張機能」アイコン(パズルのピース)をクリックすると、AI拡張機能の一覧が表示されます。使いたい拡張機能を選択すると、その拡張機能に関連するブロックが追加されます。
スクラッチでAIプログラミングに挑戦しよう
AI拡張機能を使えば、スクラッチでAIを使った作品を作ることができます。しかし、ただAIの機能を使うだけでは、面白くないかもしれません。AIプログラミングの醍醐味は、自分でモデルを作って、それをスクラッチで活用することです。そこで、以下のステップに沿って、スクラッチでAIプログラミングに挑戦してみましょう。
ステップ1:テーマを決める
まずは、自分が作りたい作品のテーマを決めます。テーマは何でも構いませんが、AIの機能と関連性があると良いでしょう。例えば、「ペットのしつけ」「お天気予報」「お笑いコント」などが考えられます。テーマを決めたら、それに合わせて入力と出力の種類を考えます。入力と出力は、カメラやマイクなどのセンサーから得られるデータや、テキストや画像などのメディアが使えます。例えば、「ペットのしつけ」なら、入力はカメラから得られるペットの画像や動き、出力はペットに対する指示やほめ言葉などが考えられます。
ステップ2:モデルを作る
次に、自分が決めた入力と出力の関係性を学習させるモデルを作ります。モデルを作るには、Teachable MachineやMachine Learning for Kidsなどのウェブサイトを利用します。これらのウェブサイトでは、自分で教師データを用意して、モデルを学習させることができます。教師データは、入力と出力の正解のペアです。例えば、「ペットのしつけ」なら、ペットの画像と「おすわり」「お手」「おかわり」などのラベルが教師データになります。教師データをたくさん用意することで、モデルの精度が高くなります。モデルが学習できたら、そのモデルのURLをコピーしておきます。
ステップ3:スクラッチでプログラムする
最後に、スクラッチで自分の作品をプログラムします。スクラッチでは、AI拡張機能を使って、自分が作ったモデルを呼び出すことができます。TM2ScratchやML2Scratchでは、「URLから読み込む」ブロックにモデルのURLを入れることで、そのモデルを使うことができます。AIブロックでは、「TECH PARK AI ブロック」ブロックにモデルのURLを入れることで、そのモデルを使うことができます。これらのブロックは、「認識する」ブロックや「結果」ブロックと組み合わせて使います。「認識する」ブロックは、入力を受け取ってモデルに渡すブロックです。「結果」ブロックは、モデルから出力された結果を取得するブロックです。
これらのブロック以外にも、スクラッチには様々なブロックがあります。例えば、「動き」「見た目」「音」「制御」「感覚」「演算」「変数」「リスト」などのカテゴリーに分かれたブロックがあります。これらのブロックを使って、自分の作品に機能や演出を加えることができます。例えば、「ペットのしつけ」なら、ペットのスプライトを動かしたり、音声やテキストで指示やほめ言葉を出したりすることができます。
スクラッチでプログラムするときは、以下のポイントに注意しましょう。
- ブロックは、色と形によって区別されます。色はカテゴリーを表し、形は接続できるブロックの種類を表します。例えば、丸いブロックは、丸い穴に入るブロックです。
- ブロックは、ドラッグアンドドロップで組み合わせることができます。組み合わせたブロックは、上から下に順番に実行されます。
- ブロックの中には、値や文字を入力できるものがあります。例えば、「URLから読み込む」ブロックでは、モデルのURLを入力できます。
- ブロックの中には、オプションを選択できるものがあります。例えば、「認識する」ブロックでは、カメラやマイクなどの入力の種類を選択できます。
- ブロックの中には、変数やリストを使えるものがあります。変数やリストは、値や文字を保存しておくことができるものです。例えば、「結果」ブロックでは、結果を変数に保存しておくことができます。
- ブロックの中には、緑色の旗や赤い丸などのアイコンが付いているものがあります。緑色の旗は、プログラムを開始することを表し、赤い丸は、プログラムを停止することを表します。
スクラッチでプログラムするときは、自分の作品がどう動くかを確認しながら作りましょう。スクラッチの画面では、左側にステージとスプライトが表示されています。ステージは、作品が動く場所です。スプライトは、作品に登場するキャラクターや物です。右側にコードエリアが表示されています。コードエリアは、ブロックを組み合わせてプログラムする場所です。コードエリアでは、選択したスプライトに対応するブロックが表示されます。ステージやスプライトをクリックすると、その設定や詳細を変更することができます。
まとめ
この記事では、スクラッチでAIを体験する方法を紹介しました。スクラッチでは、AI拡張機能を使って、自分で作ったモデルを呼び出すことができます。自分でモデルを作るには、Teachable MachineやMachine Learning for Kidsなどのウェブサイトを利用します。これらのウェブサイトでは、自分で教師データを用意して、モデルを学習させることができます。
スクラッチでAIプログラミングに挑戦することで、AIの仕組みや機能を理解するだけでなく、創造力や論理的思考力も鍛えることができます。また、スクラッチでAIプログラミングに挑戦することで、楽しみながらプログラミングのスキルも向上させることができます。スクラッチでは、色と形の違うブロックを組み合わせて、物語やゲーム、アニメーションなどを作ることができます。ブロックには、動きや見た目、音や制御などの機能があります。ブロックを使って、自分の作品に機能や演出を加えることができます。
スクラッチでAIプログラミングに挑戦してみたい方は、[キッズ AI プログラミングコンテスト]に参加してみましょう。キッズ AI プログラミングコンテストは、小学生から高校生までが対象のオンラインコンテストです。スクラッチでAIを使った作品を作って応募すると、賞品や表彰をもらうことができます。コンテストの詳細や応募方法は、[公式ウェブサイト]をご覧ください。
スクラッチでAIを楽しく学ぼう!初心者でもできるAIプログラミングのコツは、以上です。スクラッチでAIを使って、自分だけのオリジナル作品を作ってみましょう!
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